和室から洋室へリフォームするメリットをご存じでしょうか。
和室は畳の匂いや寝転がったときの感触が落ち着くという良さがある反面、カビやダニの発生などのトラブルの元になる可能性もあります。
この記事では、和室と洋室の構造の違い、和室から洋室へリフォームする場合のメリットや注意点、リフォームの工事内容や業者の選び方などを紹介していきます。
和室から洋室へリフォームする場合、和室と洋室の構造が異なるため、段差解消などの工事が必要となります。
工事内容を理解するために、まずは和室と洋室の構造の違いを把握しておきましょう。
床の構造と壁の構造に分けて説明します。
①床構造の違い床構造には2つの違いがあります。
1つは下地の間隔の違いです。
和室の畳の下には根太(ねだ)と呼ばれる横木が一定の間隔で置かれています。
畳を支えるためのもので、床の安全性を高める目的で設けられています。
洋室のフローリングの下にも根太はありますが、根太の間隔が違います。
畳の場合は畳自体に比較的に強度があるので根太の間隔は広めの445mm前後です。
しかし、フローリング材は畳に比べ強度が低いので根太の間隔は狭めの303mm程度になっています。
畳からフローリングに変える際にはこの根太を増やす工事が必要となります。

もう1つは畳とフローリング材の厚さの違いです。
畳の厚さは約40~50mmで、フローリング材の厚さは12mm程度です。
畳からフローリング材に変更しただけでは出入口や他の部屋の床との段差ができてしまいます。
段差を解消するために、根太を補強した後に高さ調整用の床板を張って高さを調節する必要があります。
また、築年数がだいぶ経過している家では畳の下地に断熱材が使われていないケースがあります。
畳よりもフローリングは冷たく感じやすいので、断熱材を床材の下に設置する工事もしておいたほうが良いでしょう。
壁構造の違いは、和室の壁が真壁(しんかべ)という柱が見える構造になっている場合が多いのに対し、洋室は柱が見えない大壁(おおかべ)という構造になっていることが一般的です。
真壁を大壁に変更する場合は柱を隠す工事が必要になります。
具体的には、胴縁(どうぶち)といわれる下地を柱と柱の間に組んでいきます。
その上に石膏ボードを張ることで柱を隠し、壁紙を張って仕上げます。

和室から洋室へリフォームする際の工事内容は、どこまで洋室に近づけるかで変わってきます。
主なリフォーム箇所は、床、壁、天井、出入口、押入れです。
ここでは代表的なリフォームのケースと工事内容を説明します。
①畳からフローリングへリフォーム
畳をフローリングに変更するリフォームは需要が多いリフォームです。
和室の象徴である畳をフローリングへ張り替えるだけで、部屋の印象は大きく変わります。
和室のデメリットも洋室のメリットも、多くは床に関係するものなので、フローリングへのリフォームを行うだけでも十分メリットがあるでしょう。
工事内容は畳をはがし、構造・下地の補強や段差解消の工事をした後に、お好みのフローリング材に張り替えます。
②壁と天井のリフォーム
床のリフォームの次に需要があるのは、壁と天井のリフォームです。
和室の壁は柱が露出する真壁構造が多いので、柱が見えないように大壁に変更する工事を行い、その上から好みのクロスに張り替えます。
天井も同様の工事を施し、クロスを張り替えます。
③襖から洋風ドアへリフォーム
床、壁、天井のリフォームの次にあげられるのが、出入口のリフォームです。
和室で使われていた襖のままでは統一感がなく、やや不自然です。
引き戸へ変更する場合は、敷居を交換するだけなので簡単に設置できます。
開き戸に変更する場合は、隣の部屋や廊下と段差が発生する場合があり、段差を解消する工事が必要になるケースもあります。
④押入れからクローゼットへリフォーム
最後に、押入れをクローゼットにリフォームする場合です。
押入れは布団などの寝具を収納するようにできているので、衣類を収納するには使いにくいつくりになっています。
押入れは上下2段になっている場合が多いので、段を取り除いて衣類を吊るすためのハンガーパイプを取り付けます。
クローゼットのドアは開き戸タイプや折れ戸タイプなどに変更します。
クローゼットは湿気がこもりやすい場所なので、調湿建材を使用することが多いです。
戸建ての和室を洋室へリフォームする際にかかる一般的な費用の目安を紹介します。
ここでは、6畳1間の和室をリフォームする場合のいくつかのパターンを例に説明します。
①床のみをリフォームする場合
床のみを畳からフローリングへリフォームする場合の費用は、24万~30万円程度です。
畳を撤去して敷居や畳寄せ(畳と壁の間にある部材)を残したままフローリング材を張ります。
畳とフローリングでは下地の構造が異なるため、下地の補強や段差を解消する工事も含みます。
②床の他に壁・天井・収納部分もリフォームする場合
床の他に壁、天井、押入れをクローゼットへリフォームする場合、費用は44万~51万円程度かかります。
・床:16万~18万円
・壁:10万~12万円・天井:4万~5万円
・クローゼット:14万~16万円
壁はコストを抑えるために、和室の真壁(しんかべ)を洋室の大壁(おおかべ)に変更するのではなく、柱が見える状態のままベニア板とクロスで洋室風に仕上げます。
押入れは中の棚を撤去、衣類を吊るすハンガーパイプを設置して同じサイズのクローゼットへ変更します。
③完全に洋室化する場合
和室の真壁を大壁へ変更して、部屋全体を完全に洋室化する場合の費用は80万~89万円程度です。
内訳は下記の通りです。
・床:19万~21万円
・壁:17万~20万円・天井:4万~5万円
床は畳寄せの撤去と下地調整でプラス8万円の追加です。
壁は真壁(しんかべ)から柱の見えない大壁(おおかべ)へ改築し壁紙を張って仕上げます。
壁と床が接する部分には巾木(はばき)を設置します。
巾木は、デザイン性を高めたり、掃除機などによる損傷や汚れから壁を守る役割を果たす部材です。
壁と天井が接する部分は、廻り縁(まわりぶち)を設置して、壁と天井の繋ぎ目をきれいに仕上げます。
ここでは、和室を洋室にするメリットを紹介します。
①和室のデメリット
和室のデメリットは以下の通りです。
・畳は湿気が溜まりやすく、十分な換気ができていない場合ダニやカビが発生しやすい
・障子や畳のメンテナンスが必要・重たい家具を置くとへこみが生じる
・障子の桟や鴨居などにホコリが溜まりやすいのに掃除がしにくい
②洋室のメリット
和室の畳をフローリングにすることで、ダニやカビの心配が少なくなり、掃除やメンテナンスが楽になります。
・ダニやカビの発生によるトラブルが解消される
・傷みやすい畳、障子、襖の張り替えが必要ない・家具を置いても跡が残りにくい
・ホコリが溜まる場所が少なく掃除が楽
椅子やベッドを使う洋風の暮らし方(ライフスタイル)に合わせた部屋づくりをすることができます。
フローリングの上にカーペットやラグ(床全体ではなく一部に敷くもの)を敷けば、寝転がることもできて、部屋の雰囲気も変わります。
布団からベッドにすることで、お年寄りでも寝起きが楽になり、布団の上げ下ろし作業もなくなります。
夜遅く帰宅してもすぐに寝られるという点もメリットです。
和室を洋室にリフォームするとき、配慮しておきたいことの一つにバリアフリーがあります。
部屋の入口や床の段差をなくしたり、手すりを設置したり、安全性に配慮しておくと将来的にも安心です。
高齢者だけではなく、車椅子生活を余儀なくされる場合もあるでしょう。
費用はかかりますが検討しておきたいポイントです。
必要になってから部分的にバリアフリーにすると費用がかさむので、部屋と廊下、部屋と部屋などに段差がある場合には、リフォーム時にまとめてやっておいたほうが良いでしょう。

和室を洋室にリフォームする際のポイントは、使用する目的に合わせてクロス(壁紙)やフローリング材を選ぶことです。
ここでは、クロスとフローリング材を選ぶ際のポイントを説明します。
●クロス
クロスの素材には、ビニール、織物、紙などがあります。
珪藻土壁紙という紙と珪藻土(けいそうど)を混ぜて作られたものあります。
一般的なのがビニールクロスです。
安価で品質が安定しており、耐久性にも優れていて掃除がしやすいのもメリットです。
色やデザインが豊富なところも魅力です。
クロス自体の機能も選ぶポイントになります。
シックハウス症候群対策、防カビ、抗菌、抗ウイルス、抗アレルゲン、防臭、防汚加工、ペット用に表面を強化したものなど、さまざまな製品があります。
●複合フローリング
複合フローリングは複数の板を重ね合わせたフローリング材を使用しています。
安価でデザインの種類が豊富です。
温度と湿度の変化に強く変形しにくいフローリングです。
耐水性・耐候性がありキズにも強いという特徴を持ちます。
●単層フローリング
単相フローリングは無垢材を使用したフローリングです。
無垢材とは天然木から切り出した1枚の板のことで、価格は高くなりますが、天然木の風合いや感触が良く高級感があります。
自然素材なのでアレルギーの心配もありません。
素材にこだわりたい人には単層フローリングがおすすめです。
和室から洋室へのリフォーム実績が多い会社に依頼をするのがおすすめです。
希望しているリフォームと同じようなケースのリフォーム実績が多いかどうかが判断基準となります。
リフォーム専門業者であっても希望しているリフォームの実績が少なければ、トラブルが発生する可能性が高くなります。
◎保証とアフターフォロー
リフォーム後に不具合が発生した場合のことを考慮して、保障やアフターフォローが充実しているかどうかを確認しておくことも重要です。
保証にはリフォームで使用した製品のメーカー保証と、リォーム業者の保証があります。
製品メーカーの保証はそれぞれの保証期間が違っている場合や、直接メーカーに依頼しなくてはならない場合があるので、リフォーム業者の保証やアフターフォローなどのサービスが充実していれば安心です。
保証期間とどのような不具合や補修に対応してくれるのかを事前に確認しておきましょう。
和室から洋室へリフォームして使い勝手をよくしよう!
畳からフローリングにリフォームするだけでも、使い勝手の良い部屋に生まれ変わります。
日々の生活を楽に過ごすために、和室から洋室へのリフォームを検討してみてはいかがでしょうか。